壮絶すぎる虐待に重くなってしますが、虐待のリアルな状況、被害者の気持ち、著者が自分の子供にキレそうになる過程などが知ることができました。
コミックエッセイで著者の幼少期時代の出来事から自分が家庭を持って、色々ととらわれてたことを克服しつつも虐待そのものの記憶を消すことはできない苦悩が描かれてます。
1番ゾッとしたのは、(他の虐待の場面すべてや父親に性的な目で見られる場面も重いし読んでてキー!と怒りが湧きますが、、)朝起きたら、父、祖母、祖父から母親がしつけという名のリンチをされてる場面です。普通だったら犯罪ですが、家庭内というだけで隠されてしまってるという。。そして子供はおかしいと思ってても無力で何もできないのが読んでて辛いところでした。
あと、一度離婚した母が子供に教育を受けさせてあげたいという理由で虐待をする父とよりを戻してしまうところ。どうしてそうなってしまうのかと疑問に思いました。千葉県で10歳の女の子が虐待されて亡くなった痛ましい事件がありましたけど、その母親も一度離婚してるのによりを戻してしまってるというのをニュースで見ました。正常な判断じゃないですが、こういう時の心理はどんな風になってるのか、気になりました。
それから、著者が泣いてる子供を見てキレそうになって、自分はこんなに恵まれてなかったと息子に対して妬ましい気持ちになったというのも興味深かったです。父親の日記を読んで、父親が著者に対して女だからって泣くことを許されて、かばってもらって妬ましいという気持ちを抱いてたこともわかります。子供に対して、出かける直前でご飯食べるとか言い出したり、なかなか寝なかったりして、おい!って思うことはあっても、妬ましいという気持ちを抱いたことがなかった自分としては、そういう風に思うこともあるんだなと発見でした。
この本を読んでて著者が田房永子の「キレる私をやめたい 〜夫をグーで殴る妻をやめるまで〜」でのキレる場面と、この本でのキレそうになる場面の描写が似てて、周りから見たら、なんでそんなことで?と思うのですが、本人の無意識の中では色々な気持ちが渦巻いていることがわかります。
両者ともありえないくらいのストレスがかかる過程環境で育ったわけですが、キレれる人というのは、そういうストレスを家庭で受けてきたんだなと。
両者とも、キレそうになったりキレることをどうにか克服したいと思っていて、克服までの過程が描かれてるので、そういった悩みを抱える人にももしかしたら参考になる本かと思うのでおススメです。虐待の実情を知る上でも少しでも興味があれば読む価値ありだと思います。